独龍江郷。

　それは雲南省の西北端、北に上ればチベットへ、西に山を越えればミャンマーという辺境の山間部にあるいくつかの村の集まりです。その辺りに点在している村は、どこもチベットから続く険しい山並に遮られて容易に近づくことができません。

　中国人でさえ入ったことのある人はごく限られているという秘境の村。彼らはそこで、外からの影響を受けることなく、ゆったりと昔ながらの生活を続けています。

　1995年の秋、私はその村々のひとつを目指して、雲南省の省都昆明を出発しました。そして延々と続く埃っぽいデコボコの山道に悪態つきながら、やっとのことで「巴坡」という彼らの村にたどり着きました。

　そこでの滞在はほんの数日の間のことでしたが、その悲惨ながらも強烈な体験を、写真とともに紹介したいと思います。